大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和54年(行コ)70号 判決

控訴人

野口馨一郎

控訴人

野口昭司

右両名訴訟代理人

山本剛嗣

被控訴人

神栖町

右代表者町長

池田治

右訴訟代理人

石島秀朗

大和田一雄

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実《省略》

理由

当裁判所も、被控訴人が昭和五一年九月一三日にした鹿島臨海都市計画道路の都市計画変更処分は、処分性を欠くゆえをもつて抗告訴訟の対象となり得ないものであるから、右都市計画変更処分の取消を求める控訴人らの本件訴は不適法なものとして却下を免れないと判断するものであり、その理由は次のとおり付加するほか、原判決がその理由において説示するところと同じであるから、右説示を引用する。

すなわち、都市計画には、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画区域として市街化区域及び市街化調整区域が定められ、かつ、当該都市計画区域において必要と認められる道路・公園・水道・河川・学校・病院・市場・住宅施設・官公庁施設・流通業務団地等の都市施設が定められるところ、都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定められるべきものであるが、被控訴人は、既に決定していた都市計画につき計画を一部変更する必要が生じたので、控訴人ら主張の鹿島臨海都市計画道路につき都市計画変更処分をしたものである。しかし、都市施設が右のような基準に従つて定められるべきであるとしても、都市計画の決定処分及びその変更処分は、いずれも都市計画の策定に続いて実施されるものと予定されている都市計画事業の円滑な遂行を図るための一般的・抽象的な計画の決定にとどまるものと解されるのであつて、それは特定の個人に対し直接その権利義務に変動を及ぼす性質のものではないのであるから、いまだ抗告訴訟の対象として取り上げるに足りるだけの事件としての成熟性に欠けるものと見るのが相当である。

〈以下、省略〉

(杉田洋一 長久保武 加藤一隆)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例